心の問題が深刻なときには

精神科には行きにくい人も

女性

現代人の生活にとって、もはやストレスはつきものとなっています。ストレスを抱えたままで生きることはごく普通のこととみなされ、雑誌の特集やテレビ番組などでもストレスを解消・改善するためのさまざまな方法が次々に紹介されています。しかし、ストレスは誰もが持っているものだという認識が、かえって人々に自分の状態を客観的に判断し、適切な対処を行うことから遠ざけているとみられます。というのも多くの人が、心の苦しみが高じて体に不具合を生じるまで、自分が病的な状態に陥っていることに気づけていないからです。幸運にも早い段階で自分の状態が看過できないものだと気づいた場合でも、そこで次にどう対処するかということになると多くの人が戸惑いを覚えるものです。それは、今の中年世代が若者だった頃の時代までは、精神科に行くことは人として一種の最後通告を受けたかのようなイメージが持たれていたためです。もちろん、現在では精神科に対するそのようなネガティブなイメージは根拠のないものであると、多くの人が理解しています。しかしそれでもなお、自分や自分の身近な人が精神科にかかるというと躊躇するような感覚をいだく人が少なくないのが現状です。そこで、このような場合におすすめなのが心療内科を受診することです。以前は、心の問題が体に現れていれば心療内科を受診するというのがひとつの目安になっていました。しかし現在では心に問題を抱えている場合、精神科と心療内科のどちらを受診しても差し支えないものとされています。

人格障害という新たな病気

現代人は前述のように皆ストレスに悩みながら生活していますが、心療内科の受診者が最近増えてきているのにはほかにも理由があります。精神医学の発達により、昔は病気や障害とは考えられていなかった症状が、精神上の病気とわかってきたことです。たとえば人格障害などは、患者や家族、周囲の人々にとっては非常に深刻な問題となることの多いものです。しかし精神疾患としては重篤な部類というわけではなく、必ずしも入院治療などの必要はありません。本人が生きづらいと悩んでいたり、振り回されてしまう周囲との軋轢が問題になったりしたときに精神科や心療内科を受診すればよいのです。このような人格障害は、昔はどちらかといえば個人的な性格の問題だと思われていました。しかしそれでは周囲の反応としては「甘えるな」とか「わがままだ」というような相手を責めるものに傾きがちになります。人格障害にはそれ相応の原因があって症状が現れているのですから、人生の質を高める、あるいは守るためには時として専門家による手助けが必要です。このように、従来個性の問題とみなされていたものが適切な治療を受ければ改善できる病気だと解明されてくるにつれ、心療内科の役割はさらに増していくものと考えられます。